17年5月12日、ビストロボルドーライブ。
その日のオイラの出来は最悪であった。(>_<)
今後のために、記録しておこうと思う。


今回は、オイラとしては珍しく数日前から練習でかなり煮詰めた。
曲目、PA、歌い方、弾き方…全てイメージが完成していた。
あとは、当日そのとおりに復元すれば良いだけ。
最近、ボルドーでの歌い方もつかんだみたいだし、気持ちとしては「もう、今日は勝ち」というライブだった。

この時点で奢っていたのかもしれない。

7時10分入店。
決してギリギリや慌てる時間では無いが、今にして思うともっと余裕を持って入るべきだった。

7時25分セッティング、チューニング完了。
アンプとミキサー(アレシス)の電源を入れる。
しかし、音が出ない。
えっ?
あれこれやってみるがダメ。
時間が無い。
焦りまくる。
家からセッティングしてきたミキサーのボリューム位置も全て狂った。
アンプ、ミキサー共にボリューム最大でどうにか使える音量が出るようになった。
しかし、歌える「気持ち」では無いのが自分でもハッキリわかった。
でも、時間。
歌わなければ…。歌い出せばなんとかなるはずだ。それが経験。
今までも、何とかしてきた。自信はある。
とりあえず、発進した。

一曲目は「花」
やはり出だしは不満。歌いすぎてしまう。2番と3番ではなんとか修正。
しかも、PAからの音量がイメージよりも不足するためどうしても強く歌ってしまう。
しかし、なんとか誤魔化す。

2曲目は「手紙」
PAの音にはかなり不満。歌いながら調整…そのぶん集中できない。イライラを抑えながら演奏。
低音のハウリングが気になり始める。波のようなハウリングでリズムを乱しそうになり落ち着かない。
歌いながらPAを調整し続けるがどうしようもない。
しかし、もしかしたら、これが気になるのは歌っているオイラのところだけで、客には聞こえていないかもしれない。
過去、そういうことも結構有った。
それを祈りながら歌った。
もうこの時点で歌どころではなかったわけだ。

しかし、客のところへもかなりノイズが流れていることがわかった。
もう、手は尽きた。
PAを諦めて、生音で歌うことを選択。

「大きな古時計」
集中しない。
けして生音で歌えない歌ではないはずなのに…
たった5日前、同じ場所で、同じ生音で、酔っていたとはいえ、この歌で涙をぽろぽろ流してくれた人もいたのに…
信じられない体たらくだ。
その落差が更に集中力欠如に拍車をかける。

次の曲は予定では、さだまさしさんの「雨やどり」
今回は、PA使用のオンマイクでの囁くような歌い方で全て選曲構成して準備してきた。
生音で歌うには「雨やどり」はかなり厳しい歌だ。
しかし、今まで何度も生音で歌ってきたではないか。敢えて挑戦。
その時は「これもまた勉強だ」と思いきったのだが…後にして思えばただの蛮勇。
冷静さにかけた間違った判断だった。
この日のオイラは生音では「囁けない」「色を出せない」
まるで喧嘩を売っているような歌になってしまう。
今まで出来たのに…何故今日はできない?
情け無い。自分への怒りが歌い方にも現れる。
そんな事を考えてしまうから歌詞に集中できない。更に悪循環。
最低だ…
逃げて帰りたかった。自分が情け無くて泣き出しそうだった。大声で叫き出しそうになるのを必死で堪えていた。
悪いことに、いつもなら出来の悪い歌や、受けない歌は2番3番は短く端折って切り上げるのだが、この歌は物語性があるのでアドリブでは端折れない。
拷問のような時間が永遠と続く。
早く終わってくれと思いながら歌った。
激しく消耗。
もう歌えない。
第一部はこれで終了した。
お客さんに「すみません」と頭を下げた。
常々「すみません」という口癖は良くないと言われ続けているが、今日はこれ以外に言葉がなかった。


「もう歌なんてやめちまおうか」という思いが頭をよぎった。


休憩中、PAを再調整するも状況は変わらない。
完全に自分を見失っている。
集中できない。
とても歌を歌える気持ちではない。
しかし、第2部が待っている。気持ちを切り替えなくては…
いや、歌わないという選択肢もあるぞ…
葛藤すればするほど、歌える精神状態ではなくなって行く。
どうしたらいいんだ…
こんな時に他の人ならどうするのか…
いろんなプロの顔が浮かんでは消える。そうか、ここを越えるのがプロか。
口惜しいぞ。
ならば歌おう。
でも何を?
用意してきたものではダメだ。
よしっ、原点に戻ろう。吉田拓郎だ。

アッという間に、もう20分以上が過ぎていた。


第2部を始めた。
「好奇心」
バラバラだ。ここ数年積み重ねたものが消えてしまった。昔の投げ捨てるような歌い方。
でも今はこれが精一杯。
歌詞は間違うし、歌の出来もひどかったが何故か落ち着いた。何故だ…。

「ラストダンスは私に」

どうなのか…出来は確かに良くないのだろうが、とにかく浮上しようと努力したつもり。
実はこの歌は今日の隠し球で、ギターのベース音に乗せてしゃれた感じで軽く歌うつもりだったのだが…。口惜しい(>_<)
ギターはコードミス。

「抱きしめたい」
諦めたのか、少し落ち着いた。
しかし、生音のため低音部のコントロールが出来ない。
ここで、先ほど入ってきたお客さんが拍手をくれた。
これで救われた。地獄に仏。
自分の気持ちを高揚させる意も含めて、努めてお客さんと会話。
今日はこれがなかなか出来なかったんだ。
聞けば、店の外に流れたギターの音に惹かれて入ってきたそうだ。
「好奇心」の時か…。
あの歌が救ってくれていたのか…。

ストロークで「サントワマミー」

「僕の胸でお休み」で、なんとか終える。
低い方が生音ではかなり苦しい。

出来としては100点満点で5点。
納得できる歌は一つも無かった。
過去最悪の出来であった。

結局、ライブ前に勝手にイメージを作りすぎてしまったのだな。
PAのちょっとしたトラブルでそのイメージが崩れたため自分の中で補正対応が出来なかったわけだ。
自分が勝手に作り上げた幻の演奏とのギャップと戦い、どんどん落ち込んでいった。
臨機応変、場に合わせて演奏を変えられる事だけがオイラの長所だったはずなのに…。
客は置いてけぼり。自分の中だけでの葛藤が続いた。
なぜ、切り替えることが出来なかったのだろう…。
奢りか…。

それにしても、あらためてPAは怖い。
いつも思うことだが、歌い手を生かすも殺すもPA次第だ。
しかし、同時に、PAに頼らなくても歌える技を身につけていなければいけない。
今回は、その技が本当の意味では身についていなかった事がハッキリした。

それから、今回は自分でもよく分からない事がいくつかあった。
答えがでていないもの、何をしたのかわからないもの…。
まだまだ分からない事だらけということは充分わかった(^^;)


ライブ終了後、あらためてPAを繋ぎ治したら、普通に音が出た。
一体なんだったんだろうか…。