人はパンと牛乳で生きる

ある日のこと。
ご主人様が、眼鏡橋で歌っていると、
70過ぎくらいのおばあちゃんが、目の前のベンチでパンを食べながら聞いてくれていたんだ。
御主人様もおばあちゃんに合わせて
「港が見える丘」とか「ゴンドラの歌」とか歌ってたんだけど…。
おばあちゃん、やおら意を決したように立ち上がると、
まるで、人目をはばかるように、ささささっと御主人様の側にやって来た。
いったい何事?と、顔を上げる御主人様。
おばあさんは、小さな声で「にいさん、こいば食べんね」と
コートで隠しながら、そっと、パンと牛乳を差し出したんだ。
御主人様、ちょっとびっくりしちゃって
「あ、いや、もう、飯、食べてきたんですよ」(ホント)と辞退するんだけど
おばあちゃんは
「また。なんば言いよっとね、こん子は。よかけん食べんね。まだ、新しかとやっけん」
と、無理に、御主人様にパンと牛乳を押しつけると、
「遠慮せんと、食べんばよ」と念をおしながら
またまた人目をはばかるようにして立ち去ってしまいました〜。(^o^)

いやあ、まいったね。
御主人様、よっぽど貧乏そうに見えたのかね。確かに金持ちには見えないけどね。
おばあちゃんが立ち去った後、御主人様、パンと牛乳を抱えたまましばらく呆然としてたよ。
でも、御主人様、嬉しかったみたいだ。
ありがとうね、おばあちゃん。

H.12.01.25

 

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