最初で最後の…(^0^)

一年半くらい前かなあ…。
良く晴れた日曜日、御主人様は眼鏡橋のたもとに出かけて歌ってた。
春というにはまだ少し早い季節だったけどポカポカと暖かくて良い気持ちだった。
御主人様が歌っていると、ひとりのおっちゃんが近づいてきた。
見ると、かなり、酔っぱらっている。
ごきげんだ(^_^;)
アル中のおっちゃんらしい。
どうして、ご主人様は、こういう人達に気に入られるのだろう。
おっちゃんはご主人様の前に立って、色々と自分の生い立ちから何から話し始めた。
これも、けっこうあるパターン。
なぜ、みんな、ご主人様に自分の人生を語りたがるのだろうか。
おっちゃんはワンカップの焼酎を飲みながら、ゆらゆらと踊るように語り続ける。(^_^;)
谷村新司の「昴」が好きなんだとリクエストをくれた。
本人は、一度だと思っているのだろうが3度もくれた。
毎回同じ思い入れのエピソード付きで。(^_^;)

「おいは、今は、酔うとっばってん、明日は、東京の方に働きに行くとさ。
大工の腕なら誰にも負けんとぞ。そいけん、今日が最後の酒さ」
そういいながら、ご主人様の歌に合わせて
ゆらゆらと踊ってくれた。

足早に通り過ぎる人達を
「聞いてくれんね、こん兄ちゃんの歌ば」
と、一生懸命呼び止めてくれるのだが、殆ど逆効果(^0^)
ご主人様も「まっ、いいか」みたいな感じで、半分あきらめムードで歌ってた。
そしたら、おっちゃんが、若い女性をつかまえてきた。
無理矢理、手を引いて、オイラの隣に座らせてくれた。
美人じゃ〜ん。広末涼子似。(^0^)
おっちゃん偉い。よくやった。
ご主人様はすぐにでれでれしちゃって、困ったモンだ。
東京の女子大生で、長崎に一人旅で訪れたらしい。
中島みゆきの「悪女」をリクエストしてくれた。
この歌、まだ、ご主人様上手く歌えないんだけどね。まあなんとかごまかしごまかし歌ってた。(^0^)
そしたら、その広末似の娘、歌の間にスケッチブックに何かさらさらと書いてるの。
中島川と眼鏡橋の側にギターを弾いているご主人様の簡単なイラストだったんだけど
上手かったなあ。
歌い終わったらそのスケッチブックを見せて
「良かったら、ここに、名前を書いてもらえませんか」
だって(^0^)
良いも悪いも無いよね、女好きのご主人様、よろこんで絵の横に名前を書いてた。
あれって、ご主人様の初サインだよね。
っていうか、オイラが知る限りではあれが最初で最後のサインでした。

広末君が爽やかに立ち去った後もアル中のおじちゃんはゆれ続けていた。
しばらくして、ご主人様が帰ろうとすると、おっちゃんは
「もう帰るとね、じゃあ、最後においの好きな歌があっとばってん、そいば歌ってくれんね」
と、やっぱりゆれながら言った。
ご主人様が笑いながら
「昴ですね」
と、言うと
「えっ、どうして分かったとね」
と、おっちゃんは驚いていた。
一日に「昴」を4回も歌ったのは、これまた最初で最後だったね。(^0^)

H.12.08.16

 

戻る