まずは自己紹介など…。


おいらは「K.ヤイリ 」
正式にはDY28とかいう名前が付いている。
ご主人様との出会いは、1977年だから、もうかれこれ、23年前。
おいらが第一楽器って店の隅っこに置かれていたときに
毎日のようにやってきてはベタベタ触っていく変なあんちゃんがいて
それが、ご主人様だったんだ。
あのころ、ご主人様は長髪で、今の坊主頭なんて想像もできなかったよ。
第一楽器もそれから2年ほどで無くなってしまったから、良いときに買われたのかなあとも思っている。
今でこそ、「K.ヤイリ」は若いストリートミュージシャン達の圧倒的支持を受けているブランドだけど、当時は全くの無名(T_T)
ギターは「ヤマハ」「モーリス」「アリア」といった時代だったんだ。
ギターに詳しい人でも
「K.ヤイリ」よりも、兄弟ブランドの「S.ヤイリ」の方が音が良いと噂されていたので、ご主人は友達から「高い金出してつまらないもの買って…」と悪口言われてたみたい。
おいらもあのころは肩身が狭かったよ。
でも「S.ヤイリ」はその後全く音信不通というか見ることなくなっちゃったなあ…(^_^;)

第一楽器では、おいら9万円の正札がついていたんだ。
でも、隣に同じ「K.ヤイリ」のギターが10万円でギターケース付きで置いてあって、
そっちがお店の売り筋だったみたい。
おいらはギターケースが別買いだったので合計すると10万5千円になってしまって、隣のやつより高くなってしまうんだ。
しかも、隣のやつは、装飾がとても綺麗でキラキラ光ってて、見るからに高級感。
いつも、みんなの目を引いていた。
おいらは、全く、派手さとは無縁の地味な容貌で、見ただけじゃ1万円くらいのギターとしか思われないんだ。
単にスターの引き立て役に置かれていただけの存在だったんだ。
その隣のギターには見向きもせずに、毎日、おいらに会いに来る、ご主人様。
店の人も隣のカッコのいいやつを奨めていたけど、正直、おいらにも変わり者に見えたね。(^0^)
ご主人様は、毎日のようにおいらに会いに来て、何とか10万円に値切っておいらを身請けしてくれた。ボーナスの殆どがとんでしまったらしい。

それから、早いもので22年。
ご主人様の結婚式でも活躍させてもらったし
最初の何年かはテレビに出たりとか幾度かスポットをあびたこともある。
その後、あまり触ってもらえない時期もあったけど、
ずっとご主人様と一緒だったのさ。

ご主人様はギターけっして上手くない。
上手な人に弾いてもらってるギターをみると羨ましくもあるけどね。
くされ縁さ(^0^)
最近、ご主人様は「アストリアス」とかいう若いギターを買って弾いているようだけど、ここ一番の大事なときにはやっぱりおいらの出番さ。

路上でご主人様の馬鹿声につきあえるのは、この世でおいらだけだと思ってる。
年は取っても、ストリートでならマーチン君やギブソン君にも負けないよ。
 

−平成11年11月−

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